お知らせ

写真展「森を抱く」(フォトカノン戸越銀座店)

戸越銀座にある写真店 フォトカノンさんで、個展を開催します。

「森を抱く」

強い雨や焼けつくような日射しに豊かな葉を差し掛け、大地を肥やし、水を湛え、
優しくも厳しくもあろうとせず、生命を育み終末を受け入れる。

いつの頃からか、私は森に憧れ、森を求め、森になりたいとさえ思うようになった。
それは、30代半ばを過ぎた私自身の、“生命を内包する何か”への憧れでもあった。

同世代の友人の多くが母になっていく中、
私自身はどこか取り残されたような気持ちを感じるようになっていた。
同じ頃、病を患い闘病する友人も相次いだ。
当たり前だけれど、誰も自分の命を諦めたりなどしなかった。
一方、私は、自分自身が命に対して何の役割を担っているのかわからず、
そのことに後ろめたさを感じていた。

命を生むこと、育むこと、そして失われること。
豊かな森を望みながら、見知らぬ森を抱いて、私は今もここに生きている。

早苗久美子写真展「森を抱く」 
2017年4月14日(金)〜4月26日(水)
 ※定休日:4月20日(木)
 フォトカノン戸越銀座店 〒142-0041 東京都品川区戸越2-1-3 TEL:03-5498-1641 
OPEN:10:00~20:00(木曜定休) http://www.photokanon.com/

早苗久美子写真展 「モヤチッチ」(林和美写真画廊)

2016年秋に、岡山県倉敷市にて開催された「倉敷フォトミュラルf」にて、写真評論家・飯沢耕太郎氏の選出により展示の機会をいただいた作品「モヤチッチ」を展示いたします。

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タイトルの「モヤチッチ」は造語です。何事にも確証がなくはっきりしない様子、形容しがたい苛立ちと不安を抱えてモヤモヤしている様を表します。この言葉は、そのような状態に耐えきれなくなったわたしの口から突然発せられたのです。「あぁ~、もぅ、モヤチッチだなぁ」と。

 今、世の中にはポジティブな情報が溢れています。ベストセラー入りする自己啓発本、SNSで繰り返しシェアされる感動話、友人・知人が投稿する充実した暮らしぶり。目標をみつけ、向上心をもって自分だけの唯一の道を邁進する。わたしもそんな生き方を望みましたが、ふと気がついたら、一体何に向かって進んでいるのかわからなくなっていました。自分は何がしたいのか、どう生きたいのか、はっきり見えなくなった途端、景色が変わりました。霧がかかったように曖昧なのに、明滅するようにサインを発しています。「進め」「止まれ」「ススメ」「トマレ」…。わたしは何の確証もないままに、そのサインの前に立ち、シャッターを切りました。

 真剣に悩んでいるようには到底思えない「モヤチッチ」という言葉の響きが、得体の知れない苛立ちに覆われていた自分の中に、ストンと落ちていきました。モヤチッチなら、それを恐れなくてもよいはずだと思えるのです。

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早苗久美子写真展 「モヤチッチ」(倉敷フォトミュラルf 2016 選出作品)
2017年2月3日(金)〜12日(日)※月〜木は休廊
12時00分〜19時00分(最終日は〜16時00分)
林和美写真画廊(〒107-0062 東京都港区南青山3-8-5 M385Bldg.#15)