思考の檻を出る

昔、この先の人生は過去を生きてやろう、と本気で思っていたことがあった。今思うとあれは生きることと矛盾する望みだったが、当日の私には切実な決意だった。

そんな風に生きていくことはできないと知らせてくれたのは、自分が撮る写真だった。自分の意識が変わるより先に、撮る写真が変わっていってしまったから。それで気づいた。過去と同じではいられない自分に。

展示などで発表した作品で言えば、「あのひと」は過ぎた日々のことを見ていた頃の作品で、「モヤチッチ」は変わっていく自分と世界への違和感から生まれた。あの頃は、ただ写真を撮っていた。作品としてどうとか、そんなことを撮る前に考えたりしなかった。 

ごく最近、ある人から「あまり考えずにとにかく撮ったほうが良い」というアドバイスをもらった。もう一度「ただ撮る」ところからやればいいのだと思ったら、なんだか懐かしいところに帰ってきたような気持ちがした。いつの間にか、自分で自分を不自由にしていたのかもしれない。

 

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