全てが、かつてないほど不確実になってきている今、
目の前のこの景色は本当に確かなものなんだろうか。
それすら危うげに見えてくる。
約束されているかのように見えていた日常は、
今ではまるで泡のように頼りなく思える。
それでも、その掴みどころのない輪郭に手を伸ばし、
何かを確かめたいと望む。
だから、写真を撮ろうとするのかもしれない。
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今を、撮ってみようと思う。
ちょうど、今を撮るのに使いたいレンズが手元にある。
羽のないズマール。
縁あって私の手元にやってきた絞り羽根の欠落したレンズ。
完全開放でしか撮影できず、昔のレンズのため、曇りも傷も盛大にある。
そのせいで、ぼんやりと紗がかかったような写りになってしまう。
とてもクセの強いレンズ。
今を撮ってみようかと考えた時、このレンズのことを思い出した。
この不確実さ、目の前の景色への確信のもてなさが、
羽のないズマールが映し出す光景にオーバーラップする。
目を見開いてもはっきりとは捉えられない景色。
それこそが、今なのではないか、と。
ということで、しばらく羽のないズマールを相棒に、
今を撮ってみることにしようと思う。