ふと見上げた空に朧月。日に日に滲む記憶と繰り返される喪失。思い出せないけれど忘れた訳じゃない。堪えきれず呟いた言葉が、行き場をなくしてポトリと落ちた。
行かないで。言えたら何か変わっていただろうか。
今も、あの夏の続き。
そこで、笑っていてくれたなら。
猫に抱かれて眠る。