嵐の前の日、約束を破った。ラジオから聞こえるのは、いつも通りの穏やかな声。
守りたくて、抱きしめたくて、なお彷徨う。
会えば傷つくと知っていたけれど、そうすることでしか終われない恋だった。
ふと見上げた空に朧月。日に日に滲む記憶と繰り返される喪失。思い出せないけれど忘れた訳じゃない。堪えきれず呟いた言葉が、行き場をなくしてポトリと落ちた。
行かないで。言えたら何か変わっていただろうか。