写真と言葉

【今を撮る】2020年5月3日

鯉のぼりの吹き流しが、風にたなびいていた。

 

木漏れ日の先に、上り階段。

 

今日もひょうきんなたぬき。

 

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その日に撮った写真を。
それを「今を撮る」の小さなルールにしてみる。

羽のないズマールで、今を撮る。

全てが、かつてないほど不確実になってきている今、
目の前のこの景色は本当に確かなものなんだろうか。
それすら危うげに見えてくる。

約束されているかのように見えていた日常は、
今ではまるで泡のように頼りなく思える。
それでも、その掴みどころのない輪郭に手を伸ばし、
何かを確かめたいと望む。

だから、写真を撮ろうとするのかもしれない。

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今を、撮ってみようと思う。

ちょうど、今を撮るのに使いたいレンズが手元にある。

羽のないズマール。

縁あって私の手元にやってきた絞り羽根の欠落したレンズ。
完全開放でしか撮影できず、昔のレンズのため、曇りも傷も盛大にある。
そのせいで、ぼんやりと紗がかかったような写りになってしまう。
とてもクセの強いレンズ。

今を撮ってみようかと考えた時、このレンズのことを思い出した。
この不確実さ、目の前の景色への確信のもてなさが、
羽のないズマールが映し出す光景にオーバーラップする。

目を見開いてもはっきりとは捉えられない景色。
それこそが、今なのではないか、と。

ということで、しばらく羽のないズマールを相棒に、
今を撮ってみることにしようと思う。

2020年を生きる

新しい年が始まりました。
2020年という数字の区切り感のせいもあるかもしれませんが、今年はギャラリーも20周年を迎えることもあって、自分的にもなんとなく節目の年な感じがしています。

振り返ってみれば、ここ3年ほどはどちらかと言えば忍耐な時期だったように思います。写真も迷走気味で、色々なことが中途半端になっていく感覚に、いつもどこか焦りを感じていました。

昨年、縁あって長野県飯山市を訪れる機会があり、今の自分が本当に撮ってみたいと思えるものに出会えたような気がしています。大学生の頃から何かと縁の続いてきた長野県。信濃の山間の民俗風土に惹きつけられていく自分の心に素直にしたがって、しばらく撮影に取り組んでみたいと思っています。

ギャラリーの仕事だけでなく、個人としても写真の仕事をもっとやっていきたい。写真も、形にすることを焦らず自分の本当にやりたいことに集中して取り組もう。そんな想いとともに、2020年を生きてみようと思います。

本年もどうぞよろしくお願いします。


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撮りたい気持ち

私にとって「撮影したい」は、「もっと知りたい」と同義だ。
今、私には撮影したいと思う場所がある。
しばらく撮りためてみるつもりで、楽しみにしている。

だからだろうか、今更ながら機材やツール類に物欲を発揮している。
どちらかというと、気合いを形にしたいタイプ(つまり、形から入るタイプ)なので、
やる気に満ちている証拠だと思っておこう。

ということで、、、
私の写真のお道具に、新たなカメラバッグが仲間入りしました。


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思考の檻を出る

昔、この先の人生は過去を生きてやろう、と本気で思っていたことがあった。今思うとあれは生きることと矛盾する望みだったが、当日の私には切実な決意だった。

そんな風に生きていくことはできないと知らせてくれたのは、自分が撮る写真だった。自分の意識が変わるより先に、撮る写真が変わっていってしまったから。それで気づいた。過去と同じではいられない自分に。

展示などで発表した作品で言えば、「あのひと」は過ぎた日々のことを見ていた頃の作品で、「モヤチッチ」は変わっていく自分と世界への違和感から生まれた。あの頃は、ただ写真を撮っていた。作品としてどうとか、そんなことを撮る前に考えたりしなかった。 

ごく最近、ある人から「あまり考えずにとにかく撮ったほうが良い」というアドバイスをもらった。もう一度「ただ撮る」ところからやればいいのだと思ったら、なんだか懐かしいところに帰ってきたような気持ちがした。いつの間にか、自分で自分を不自由にしていたのかもしれない。

 

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